福島県双葉町避難所での支援プロジェクト
『活躍する園芸セラピー専攻生』

はじめに          動画ニュース配信中(You Tube版)
 このたびの“私たちも何か力になりたい”というセラピー専攻生の思いを活かして、国民的課題である被災者・避難者支援が保護者や、NPO法人岡山園芸福祉普及協会、校長先生をはじめ校内外のご理解ご支援のもと、実施できたことは大きな喜びでありました。参加できなかった生徒達も、“次は自分たちが参加するぞ”と思ったことでしょう。次回が楽しみです。
 今回の園芸交流は、現場合わせの部分が多く、柔軟に対応する能力が必要とされました。将来、参加した生徒の中から調整機能を持った人材(人財)へと成長してくれたらと、期待もしました。
 受入側の双葉町役場、自治会の皆様には、大変親切に対応していただき、有り難く思っています。これを機に、新たな縁・繋がりが生まれることでしょう。by 三宅道治

キーワード 
 志願・自主性  避難者支援   芝人形  ガーデニング  ハーブ・花苗
 異校種連携  自治会  行政  NPO  募金 
 
※写真の使用。4組織が相互に了解。
 計画的に支援物資の発送
@ 芝人形の資材と、花壇用赤玉土
 これは、活動当日の届く必要はなく、事前に届けることにしました。このため、5月25日に発送。
 
入っているものが分かるように段ボールに品名を記入した箱。
メンバー全員で発送するため、集荷に来てもらいました。
A 花壇造り用ハーブ苗・花苗
 これは生き物であり、生徒が6月1日当日午前、宅急便から受け取ることを想定し、5月30日(代休日)に発送。運送用の段ボールも農マル園芸吉備路農園で頂いた通気口のある専用の苗箱を用意しました。
事前に何鉢入るか確認の上、計画通り約240鉢を箱詰めしました。(8:40〜10:00AM)
午前10時〜11時の間に来ていただきました。

支援活動に、5月31日19時前に出発
実習室で松岡科長
から激励の言葉
18:35から結団式
一人ひとり決意表明
18:50出発前の記念写真 元気に明るく記念写真
JR備中高松駅
 1年生、須増副校長、松岡先生、山本先生がお見送りに来てくださる。
20:35「ルブラン号」両備・夜行バスに乗車。
両備の東京行き3路線のうち、3列独立シートでしかも料金面で回数券・学割があり理想的なのがルブラン号と判断し決定しました。

鉄道3路線を乗り継ぎ埼玉県加須市へ
6月1日(金)6:46、約20分遅れで浜松町バスターミナルに到着
@JR浜松町駅から山手線で上野駅。
A上野駅で東北本線に乗り換え久喜駅まで。
B久喜駅で東武鉄道に乗り換え加須駅へ。
8:56AM頃 東武鉄道加須駅に到着。双葉町公用車とタクシーで避難所に向かいました。
約10分で、旧騎西高等学校に到着。

初日、6月1日(金)双葉町避難所での活動
福島県で唯一残っている避難所がこの避難所です。仮に町役場は議会の議決のように福島県に戻っても避難所は残る予定であり、役場職員も常駐する見込み。
@ 芝人形の会場準備(午前中) 元のLL教室
3階、LL教室で、シート敷き、机の配置
自分たちで考え、設置しました。
途中、苗物が届き、確認と管理に行きました。
ちょっと小さいが
「芝人形講座」横幕
受講者募集用
手づくりポスター作り
  
用意していた色画用紙やマジック等が役立ちました。机は他の行事で使うため無くなり、昼食までポスター等の準備をしました。
A 花壇のハード的準備(避難所自治会との共同作業)
 13:00〜14:00頃  花壇は大小4カ所
正門前の路肩の花壇
耕したりブロックを一部設置
岡山より発送した肥料を散布。自治会の方々は猛烈に働いていました。
B 専攻生による花壇の園芸デザイン
 14:00頃〜16:10頃
どの植物をどのように植えるか、そのデザインは自治会の希望で高校生だけで考えることになりました。天候に恵まれましたが、、熱中症も心配な状況。そんな中、初級園芸園芸福祉士養成講座等で学んだガーデニング力を発揮!!
FUTABAの文字をデザイン
デザイン終了後、定植する明日、デザインを再現できるように苗カゴに分類し、校内に持ち帰る。白い紙を用意し、花の名前を記入し、苗カゴに貼りました。
C 芝人形会場準備 16:10〜16:40
 休憩時間もなく・・・・   
花壇準備中、飲み物の差し入れを頂きました。しかし、生徒達に休む時間は無く、机が他の行事から戻っていることから、芝人形の準備活動を行いました。
役場の了解を得て、高齢者の方が多く、ブルーシートで転倒しないように、シート周囲は布粘着テープで固定しました。
16:35頃、会場準備もほぼ終わりました。高農から生徒が運んできた英語科・熊城先生の芝人形も元気にスタンバイ!!
疲れもある中、三宅から“各教室「居室」を訪問して、明日の芝人形講座の案内・受講者募集活動をする”ようにゲキが飛ぶ。
D 受講者募集活動「居室訪問」 16:40〜17:00
  居室は各HRや特別教室(地区毎に入居)
すべての居室を回るように、3グループに分かれて活動しました。この約20分間は、生徒達がもっとも緊張した時間で、言葉もたどたどしく、いつものようにすれば良いと思う状況でした。それでも、徐々に慣れてきたようです。
E 宿泊所に向け移動 17:20〜 
有り難いことに、役場のバスでビジネスホテルまで送っていただきました。ホテル到着後、間なしに大きな地震があり大きく揺れエレベーターも止まり、外部への移動は非常階段を利用しました。
実習服は汚れており、予定通り、ホテルのコインランドリーで洗濯しました。
20時からロビーでミーティング
2日目、6月2日(土)双葉町避難所での活動
 4組織連携『双葉町花いっぱい運動』
  @避難所自治会 A役場・町社協等
  B上尾市立大石南中学校  C高松農業高校
@ あいさつ行事 9:30〜
着いて早々、花苗のデザインを再現する予定でしたが、急きょ、中学校の生徒さんにあいさつのため食堂に行きました。
3H尾上さんがあいさつしました。
右から自治会、高農、中学校が並び、町長さんのあいさつなどがあり、行事が始まりました。
事前に、開始前に、デザインを再現しておきたかったのですが、それは出来ず、中学生に資料を配布し、三宅が植える植物について説明し時間つぶしをしました。
A デザインの再現と、一緒に花壇造り
昨日のデザインの再現 まず植え穴を
掘っていただく
植え穴に水やり 植え付け作業、その後
赤玉土で覆土、かん水
10:45頃にはほぼ完了
中学生とも仲良くなりました。
10:50頃
読売新聞埼玉支局の取材
細長い花壇の出来上がり。ただし赤玉土の覆土が未完成。後日、自治会で実施予定。
飲み物を頂いた後、11:00頃からロータリー周囲の花壇造りに一緒に取り組みました。
●細長い花壇の花苗ハーブ苗は
 ・高農の生徒が育て岡山から発送したもの約240鉢
 ・不足すれば、町社協が用意したものを使用。

●花壇造りは、高農セラピー流儀で実施
 ・デザイン
 ・植え穴掘り
 ・根鉢に吸水
 ・植え付け
 ・赤玉土で覆土(背景色の統一、乾燥防止)
 ・かん水
B 一緒に昼食 11;30〜12:20頃武道場にて
中学生・高校生等が輪になって、配給された弁当を食べました。食事後は記念写真を撮ったり、柔道を楽しんだりした写真も残っています。
C 芝人形講座 13:00〜15:50頃 LL教室にて
 対象者は@避難所入居者 A大石南中学校生徒
始まりの会 自己紹介 中学生に指導
中学生に指導 農文協の取材(左)
中学生のお礼
のあいさつ
14;20頃
記念にポーズ
共同通信社のビデオ取材 芝人形完成後、写真を撮る
親子も参加して芝人形づくり
ぜひ、岡山に来てくださいという」いう会話もありました。
手づくりポスター
(トイレ近く)
D 片付け、材料梱包、記念写真等 16:00〜16:55頃
支援活動の思い出作りをしました。記念写真撮影。パネルにぶどうのお礼のメッセージを書き貼り完成。ホワイトボードにお礼の落書き。時間は17時近くになりました。

制服に更衣したり、荷物を整理して、エアコンのスイッチを切りLL教室を後にしました。
E お別れの会  17:10〜17:15
育て方のボード贈呈
岡山で作り持参した。
自治会長さんに
渡されたお礼のボード
後日、花壇には校名板が取り付けられます。
岡山に向け出発 17:17〜
自治会・役場の方に
手を振り出発
17:29加須駅に到着
東武鉄道に乗り換え
19:15頃、上野駅で
90分の夕食・休憩タイム
まだお土産を買う余裕があるか?
1940頃、レストランにて
3つの電車を乗り継ぎ疲れている中、やっと生徒にも笑顔が戻りました.。
20:55上野駅を出て
JR浜松町駅に向かう
21:40倉敷・岡山行き
夜行バスに乗り込む。

岡山に戻る 6月3日(日)早朝
0:38AM
掛川サービスエリアで休憩
トイレ休憩があるのは有り難い。
07:19AM頃
岡山駅西口に到着・解散
山根教頭の出迎えを受ける
夜行バスで眠れなかった生徒もいたようですが、お陰様で事故もなく無事戻ってきました。
支援物資発送までの準備活動
@ 芝人形の準備
3年生、吸水性を良くする対策
4月20日、頭用のストッキングを事前に2回洗濯。園芸実験室で乾燥
乾燥したストッキングは1年生が片づける。
4月24日
2年生、毛糸の準備
5月3日、3年生
ナンバに買い出し・発注
5月14日、3年生
段ボールに胴体を仮の梱包
生徒手作りの「芝人形」
準備用品一覧表
3年生、5月22日前後の何日間。避難所用の育て方のポスターづくり
3年生、事前の発芽実験。
この時期は約5日で発芽することが分かった。

A ハーブ苗・花苗の育苗・発送事前準備
 育苗自体は、販売用と兼ねて行いました。
3月2日、2年生
セル苗の鉢上げ作業
5月17・18日、3年生
支援用の花苗の花がら摘み
5月22日、2年生
花苗等の箱詰め事前練習
5月25日、3年生
品種ごとの数量調査
B 福島弁・支援活動事前学習会
  「5月24日考査後、午後より」 講師:小林弘典氏(避難者で倉敷市職員)
福島弁のこと以上に、双葉町避難所の実情に詳しく学びました。
・話すとき、放射のことは触れない方が良い。
・避難所は放射能の影響無し。
・避難所なので、ボランティアも弁当が支給される。
・地震や雷はこちらよりも大きい。
・雨が降り出したら、激しく降りやすい。

2012「芝人形で支援プロジェクト」成果の概要

1.若い人の訪問
 心に響く活動、高校生が訪問する意義は大きいと実感しました。
 若いだけで魅力・力があると言えば、言いすぎかもしれませんが、高齢者が多い避難所の皆様にとって「とてもうれしい」ことのようでした。高校生や中学生が来ているので、生き生きと活躍しておられました。
2.日頃の学習成果を活かした支援活動
 園芸科学科の学習活動であるガーデニングと、芝人形づくりによる園芸福祉活動を、加須市で実践することができました。避難所自治会の方でガーデニングについて詳しい方はおられないということで、ハード面以外は高農に任されました。
 場所は違いますが、今まで取り組んできた初級園芸福祉士養成講座での園芸福祉モデルガーデン実習やペットボトルガーデン、ライン花壇等でのガーデニング実践活動がそのまま加須市の避難所で活かされていました。大まかな指示のみで専攻生達は自分達で考え実践しました。
 芝人形づくりは、年間何度も実践する活動であり、自分なりのトークでなごやかに芝人形づくりを楽しんでいただけるように努めていました。芝人形づくりを取材をされた共同通信社記者や農文協の方から、“対応が自然で、とても慣れている感じですね”という内容の感想をいただきました。
3.その他
 初日、最後の実習が居室訪問。芝人形づくりの広報活動です。端から見ていると、とても緊張しており、ぎこちない対応でしたが、徐々に慣れてきたようでした。園芸交流とは違った不慣れな居室訪問という、避難者の住居環境をも知ることのできる活動でした。避難所の実態の一端を知ることができました。
1.実 施 日 
 平成24年6月1日(金)2日(土)
2.支援場所 
 福島県双葉町避難所
 (埼玉県加須市騎西 旧騎西高等学校)
3.実施生徒 
 3年浅野・尾上・中村・甲野・平田・光畑、2年伊賀・田中
4.連携機関
  @双葉町役場
  A双葉町避難所自治会
  B上尾市立大石南中学校(生徒会12名)
    平田健司教頭他2名引率
5.支援機関
 NPO法人岡山園芸福祉福祉普及協会
 国際ソロプチミスト岡山愛の基金からの一部支出
6.取材
  @双葉町花いっぱい運動
   ・避難所記録フィルム
   ・読売新聞久喜通信部
  A芝人形講座
   ・
共同通信社(47NEWS)動画ニュース配信中
    yahooで検索(芝人形 47NEWS)
   ・農山漁村文化協会
  B写真提供依頼(読売新聞岡山支局)
参加生徒の感想等
 馴染みやすい環境で人もよく、温暖なところで良かったです。また、出会った人たちと輪になって食事したり、元気な中学生に笑顔豊かな高齢者さん。そして、愉快な一般の方々や偉い人とあの場所で花壇や芝人形作りができたことを誇りに思っています。
 芝人形の第一印象はなんですか?と聞くと、可愛いし面白いなあっていってくださる方や人形嫌いっていう方もいました。その中でも、階段を登りやって来てくださった皆さんをみると、芝人形の魅力ってすごいなって思えたし、この魅力はきっと私達高農生、先生、ご協力の皆さんのパワーからだと思いました。
 また、3階の会場から、4階への出張芝人形を行いました。
 Hちゃんは明るく芝人形を伝授し、私はおばあちゃんに引き留められました(笑)『私の孫がね…』って話してくださってました。でも、そのおばあちゃん調子悪いって言ってたのに沢山話してよかったのかなって思いますが、そのおばあちゃんに芝人形を渡すと、『作りたかったのよ。あいにく体調悪くて作れなかったからね。くれるの?ありがとう』って言って一気に表情が変わったことを今でも覚えています。私『名前、つけますか』?おばあちゃん『なんにしよ?孫の名前にしようかな』私『そしたら、孫が来たとき両方反応しますよ(笑)』おばあちゃん『あら(笑)そうね(笑)どうしよ』私『芝人形の服が紫なんで、紫はパープルだから、パーちゃんはいかがですか?』おばあちゃん『いいわね。呼びやすいわ。』という会話をして、おばあちゃんがわたしが戸を出るまで笑顔でした。4階への出張芝人形に行っておばあちゃんに引き留められた時は、びっくりしたし、その上世間話が怖かったのでどうしようかと一瞬思いましたが、芝人形は私とおばあちゃんを笑顔で繋いでくれました。芝人形支援活動は深いものをくれたようです。東京バナナより、良いお土産話ができました(笑)


 行く前までは、実感も無いし心配事ばかりだったけれど、行ってからは自治会の方、高齢者の方、中学生の方、その他皆さんがたくさん話しかけてくださり、自分なりにていねいに出来たし、話なども盛り上がったりして、とても楽しかったです。
 最初は、言葉なども岡山弁と福島弁で違うから、ちゃんと話せるか心配でしたが、1つ1つ意味を教えてくれたりして嬉しかったです。そして、被災の事も「気にせず楽しく普通にして」と言われて気が軽くなり、向こうの方々は本当に良い人ばっかりなんだなと実感が出来ました。たくさんの方と仲良くなれて、逆に別れがつらかったです。一緒に花植えをしたりしたので、何か月後にどうなっているか楽しみで、“また会いに行きたいな”と思いました。

 被災者は、思っていたよりも明るく、挨拶などよくしてもらいました。芝人形の時でも、被災したのかと思うほどでした。ですが、寝ている部屋を見ると、部屋の中に何人もいて、腰が悪い人にはベッドがあったりしたけど窮屈そうで全然、復興どころではないと感じました。

 今回、被災者支援ということで埼玉県へ行かせてもらい、最初は戸惑いとかもありましたが、実際にいろいろな作業、交流をさせてもらう中で、何気ない会話で盛り上がったり、ちょっとした会話から話がふくらんだりと、とてもいい交流だったなぁと思いました。
 こうして振り返ってみて、私が現地に行って何かできたのかな?と思い返してみれば、行ったことは花壇造りと芝人形作りであり、何か特別なことをしたわけではないけれど、「笑顔や元気を少しでも届けられたかなぁ」と思っています。また訪問させてもらうことは無いかもしれませんが、何かの縁で、“また行くことができたら”と思っています。とても充実した2日間でした。


 実際にいろいろな作業や交流をする中で、話が盛り上がったり、話がふくらんだりして、とても良い交流でした。お役に立ったかどうか分かりませんが、思い返せば、いつも学校でしていることをしただけで特別なことは何もしていません。でも、私たちが笑顔と元気を届けられたとしたら嬉しいです。また何かの縁で行けれたらいいなと思いました。
《お礼》
 ご協力、ご支援いただきました方々にお礼申し上げます。有り難うございました。
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