岡山県立高松農業高等学校
 校 長  安  井    盛
             
平成31年1月8日 3学期始業式 式辞 「一年の計は元旦にあり」
 明けましておめでとうございます。2019年、平成31年という新しい年になりました。昔から「一年の計は元旦にあり」と言われますが、皆んなは、新年を迎えるに当たり、どんな目標を立てたでしょうか。            
 さて、今年予定されている大きな出来事の一つは、やはり5月1日、現在の皇太子殿下が天皇陛下へ即位され、元号が平成から新しい元号に改元されることです。それに伴って、5月1日は国民がこぞってお祝いの気持ちを表すため祝日となり、祝日に前後する4月30日と5月2日も休日となります。元号については、中国で始まり、日本では今から約1400年前の西暦645年、大化の改新があった年を「大化」という元号として、使い始めたそうです。     
 それでは、元号が変わる歴史的にも大きな節目になる年頭に当たり、例えば、目標として「勉強を頑張るとか、部活を頑張る」といった抽象的な目標よりも、一歩踏み込んで、できるだけ努力した成果がはっきりと現れる目標を立ててほしいと思います。例えば、農業土木科科であれば、測量士補の資格を取るとか、部活であれば中国大会・全国大会に出場する。或いは、農業鑑定競技で、農ク全国大会・山形大会に出場するといったような、具体的な目標を立て、「継続は力なり」で、毎日コツコツと取り組んでもらいたいと思います。             
 さて、1年生のみんなは、高校生活にも慣れた頃だと思いますが、車の運転と同じで、免許を取って少し運転に慣れた頃に、一番交通事故が多いとよく言われます。学校生活に慣れた今、一番気をつけておかなければならないことは、先生の経験で言うと、さらに上を目指して努力する人と、逆に慣れたことで怠ける人と2通りに分かれます。どちらの人になるかで、将来の自分の進路に大きな差が出てくるので注意をしてください。              
 2年生のみんなは、あと半年で自分の将来の進路を決定する時期が来ます。今の時代、仕事の定年は65歳になりつつありますが、おそらくみんなの時には、70歳か75歳にはなっていると思います。そうなると、高校を卒業して就職しても進学したとしても、この先、50年から60年という非常に長い期間、社会の一員として働くことが、毎日の生活の中心になります。その50年間の仕事を何にするかを、ここからの半年で決めることになります。自分が希望する仕事をして50年を過ごすか、そうでない仕事を50年することになるかは、この半年が勝負です。進路決定までしっかり考え、周りに相談しながら、勉強や部活、資格取得などに精一杯取り組み、自分が納得した職業人としての50年間が過ごせる進路を見つけてほしいと思います。          
 最後に、3年生のみんなは、授業だけだと10日間、そして卒業考査、卒業式まであっという間です。卒業式が終わったらすぐに会社に来てほしいという企業も多くなっています。高校卒業、即大人、社会人です。社会人となる3年生に、「仕事がうまくいくルール101」という本の中に書かれているルールの中から一つ紹介します。    
 それは「どんな時でも、嫌な顔はしない。」ということ。
 大人の社会や仕事は、自分の思い通りには決してならないし、自分のペースで、やっていればいいというものではありません。例えば、自分が仕事をしている時、上司から突然、別の仕事を頼まれることもよくあります。その時、ちょっとした嫌な顔でも、上司はあなたの表情をよく見ています。その瞬間、今後仕事を頼むことが出来る新入社員か、そうでない新入社員であるかが決まります。どんな時にも笑顔を忘れないように心掛け、厳しい大人の世界ですが、頑張ってほしいと思います。  
 それでは、みんなが、健康で縁起の良い年になることを願って、新年の挨拶、並びに3学期始業式の式辞といたします。
平成30年12月20日 2学期終業式 式辞
 平成30年もあと10日余りとなりました。振り返ってみると、一番に思い当たるのは、頻繁に発生した自然災害でした。
6月には大阪北部地震が起き、大阪では小学校4年生の女子児童が、倒れたブロック塀の下敷きになって亡くなるという痛ましい事故がありました。そして、7月には西日本豪雨が発生し、岡山県内だけでも61名の方が亡くなられ、そして続けて9月には北海道地震や台風21号がありました。
 先日、1年の世相を表す「今年の漢字」に災害の「災」の字が選ばれましたが、今までは、「天災は、忘れた頃にやってくる」という言葉が、災害への注意喚起をする言葉として有名でしたが、今年は「天災は、忘れる間もなくやってくる」という一年だったと思います。そのような中、今日の終業式で、ぜひ紹介したいと思って、ずっと校長室のホワイトボードに貼っていた新聞記事があります。
 10月16日の山陽新聞の記事ですが、その見出しは『車、用水路転落、 4人を救出』『台風で増水の中』『高松農業高校生ら3人』という見出しでした。概要は、「9月末の台風24号で増水した用水路に、乗用車が転落、車内にいた高齢者4人の救出に、高農生ら3人が貢献した。発生直後、倉敷署員が駆けつけるまでの間、雨の中で運転手を車外に出したり、車が水没しないように支えたりした。」もう少し詳しく状況を説明すると、9月30日、日曜日の午後4時ごろ、倉敷市吉岡の市道脇の用水路に、車が脱輪しているのを、近くの飲食店に勤務している男性と、本校3年生の女子生徒が発見した。車の中には、70~80歳代の介護施設を利用されている方と68歳の男性職員が乗っていた。本校の女子生徒ら2人は、とっさに左に傾いて用水に浸かっている車に向かい、運転席側のドアを開けた。本校の生徒がドアを支え、男性が運転手の男性を引っ張り上げた。激しい雨で、水流は勢いを増し、車が徐々に水没していく中、近くを通りかかった男性一人が加わり、3人で必死に車を沈まないように支えた。そこへ住民の方の110番で到着した倉敷署員が、助手席と後部座席のお年寄りを救出した。その直後に車は水没した。」という記事です。
 倉敷警察署の山岡署長は、「もう少し流されるのが早かったら、命に関わっていた。素早く対応した高校生ら3人の勇気と行動力に敬意と感謝を示したい。」とコメントされていました。                 
 同じように7月の西日本豪雨で、真備町が甚大な災害に遭ったとき、本校のラグビー部員を始めとして、有志の人がボランティアに行きましたが、人が困っているときに、素直に人を助けようとする行動がとれる人は、本当に素晴らしい人だと思い紹介しました。 
 それでは、これからも寒い日が続きますが、健康にはくれぐれも注意して、充実した冬休みを過ごしてください。
 以上で、2学期終業式の式辞といたします。
平成30年8月29日 2学期始業式 式辞  「練習はウソをつかない・・・」
おはようございます。夏休みも終わり、朝は少し秋の気配を感じますが、これからもしばらくは、猛暑が続くとの予報が出ています。今年の夏を振り返ると、西日本豪雨に始まり、延々と猛暑が続き、台風が東から西に逆送したり、また二つの台風が同時にやってきたりと、異常気象を実感させられた夏でした。岡山は晴れの国で、災害が少ないと言っていた話は、もう過去の話になりました。今後は、他の県と同様、常に危機意識を強く持って生活していくことが大切だと思います。   そのような環境の中でも、8月上旬には5日間の日程で本校から生徒・教員合わせて11名が、昨年度姉妹校提携をした韓国の金堤農生命マイスター高校を訪問しました。最先端技術であるドローンの実習をしたり、本校の白石先生が韓国の生徒にフラワーアレンジメントの授業をしたりと、非常に有意義な国際交流だったと報告を受けています。今年の11月には去年と同様に韓国から約20人の生徒が本校に来る予定になっています。
 さて、1学期末には全国大会や中国大会に向けての壮行式を行いました。 先ほどの表彰式と壮行式のとおりですが、簡単に紹介をすると、インターハイに出場したレスリング部では、3E柳田君が第3位となりメダルを獲得しました。全国グレコでは、3E柳田君と2E塚岡君が共に全国3位になりました。そして、弓道部の2A角田さんが岡山市総体で2位、アグリカップにおいてバスケットボール部は男女とも準優勝、同じくサッカー部も準優勝に輝いています。全国総合文化祭に出場した郷土芸能部と弁論の3Z松下さんとも、文化連盟賞。吹奏楽部は吹奏楽コンクールで銀賞を獲得、農クの関係では、プロジェクト発表中国ブロック大会で3チームとも優秀賞を獲得、また、県大会では、農業情報処理で3Z杉山さんが最優秀、測量競技では、平板で2Eチームが最優秀となり、全国大会出場を決め、セオドライトでは3Eチームが最優秀を獲得しました。 結果が良ければ大いに喜べばいいと思いますし、例え結果が自分の目標どおりにならなかったとしても、それに向かって努力したこと自体が、必ずみんなを成長させています。
 今日始業式ということで、みんなは、2学期にそれぞれがいろいろな目標に挑戦すると思います。「練習はウソをつかない」と言う言葉がありますが、この言葉はスポーツだけに使う言葉ではありません。勉強も含めて、全てのことに通じる言葉です。「やったらやっただけ、手を抜いたら手を抜いただけの人生になります。」何事に対しても、必死になって全力で取り組むこと、それが自分の将来につながり、結果がどうあれ、後で後悔をすることがなくなります。        
 ところで、今年の夏、第100回の甲子園大会で、すごいことが起こりました。みんなの方がよく知っていると思いますが、高農よりも全校生徒が80人少ないですが、本校と同じく農業系の5つの学科がある秋田県立金足農業高校野球部が、見事準優勝に輝きました。県立高校でもあり、施設・設備が十分でない中、冬は雪が積もる中を長靴でランニングするなどして地道に鍛えた結果が、見事に花開いたものと思っています。 同じ農業高校として大変うれしく思いました。先生自身、20年ほど前に、金足農業を訪問したことがありましたが、その時金足農業の農場長の先生が言っていたのは「うちの子はみんな良く挨拶するでしょう。」・・・これは冗談だと思いましたが、「駅から学校に来る途中の電信柱にも挨拶するんですよ。」と言っておられたのを思い出しました。                    
 みんなも金足農業の頑張る姿に感動した人も多いと思いますが、あの高校生らしい「全力校歌」であったり、先生や地域の人に対する「礼儀作法」は素晴らしいと思いました。さらに、金足農業の吹奏楽部員は25人と少いそうで、そこで応援に駆けつけたのが、同じ農業高校の地元兵庫県立有馬高校の吹奏楽部員43人。ここでも、同じ農業高校同士の強い絆に感動しました。
 それでは、最後になりましたが、2学期は体育祭や高農祭など一番行事の多い学期です。そして、今年はそれに加えて、創立120周年記念式典と農ク岡山県大会がこの体育館で行われます。行事の準備のために、放課後の活動も多くなりますが、これからは1日に1分ずつ日が暮れるのが早くなります。特に、不審者対策として暗い道は避けたり、先日は19歳の男子大学生がスマホを見ながら、しかも無灯火で自転車を運転し、62歳の男性を跳ね、その男性は亡くなりました。特に交通ルールは守って安全に登下校をしてほしいと思います。    
 それでは以上で、2学期始業式の式辞といたします。
平成30年7月19日 1学期終業式 式辞
 今日は1学期最後の日隣りましたが、去る7月6日に発生した西日本豪雨から2週間ほどがたちました。本校からわずか13kmほどしか離れていない倉敷市真備町では、小田川の堤防が決壊し、町の3割が水没しました。真備町の他にも、岡山市、総社市、矢掛町と県内の多くの市町村で甚大な被害が出ています。被災された方には、心よりお見舞いを申し上げたいと思います。
 そのような中で、今朝は生徒会が中心となって、昇降口で義援金の募集をしたり、この前の連休には、ラグビー部の他、個人的にも被災地に行って、ボランティアをした人もいます。
 被災された方への支援の方法は、いろいろありますが、「できる人が、できる時に、できることをする」そういう気持ちが大切だと思います。
 今まで岡山県は、自然災害の少ない県として知られていました。正直、心のどこかで「岡山は大丈夫」と思っていた人もいたのではないかと思います。しかし、今回のような甚大な被害が出て、今後はしっかりとした危機感と「自分の命は、自分で守る」と言う強い気持ちを持つことが、最も大切なことです。まだまだ元の生活に戻れていない人も大勢おられます。被災された方々が、一日も早く元の生活に戻られることを願っております。
 さて、明日は農業クラブ意見発表岡山県大会が、本校で開催されます。本校での開催にあたり、みんなには、県内8校の発表者が、「高農が会場で良かった」と言ってもらえるような、迎える側のマナーを徹底してほしいと思います。
 昨年度の農ク全国大会岡山大会の経験を生かして、「爽やかな挨拶、適切な言葉遣い、そして聴衆者としての聞く姿勢」の3点が基本となります。そして、プラスして、明日も暑くなります。決して無理はせず、しんどいなと思ったらすぐ担任の先生に申し出てください。
 最後になりましたが、3年生にとっては進路先を決定する大事な夏休みになります。保護者の方、担任の先生、進路の先生としっかり相談して、自分に合う進路先を見つけてください。       1、2年生の人は、自分の可能性を見つける絶好のチャンスが夏休みです。勉強や実習、ボランティア活動、部活動などに積極的に挑戦し、充実した夏休みにしてください。以上で、1学期終業式の式辞とします。
平成30年4月10日 入学式式辞 「『失敗は人生の宝』、何も恐れず、いろいろなことに挑戦してほしい」
 ここ備中高松の地も、新緑が目に優しい季節となりました。ただ今、入学を許可いたしました200名の新入生の皆さん、入学おめでとう。皆さんは、120年の伝統を誇る高松農業高等学校の一員となりました。これからの3年間を、岡山県の農業教育の中心校として発展を遂げてきた高松農業高校で、自己の才能を伸ばし、勉強に部活動にと充実した高校生活を送ってくれることを期待しています。
 皆さんの入学を祝って、本日はお忙しい中、三宅厚自PTA会長の御臨席を賜りました。誠にありがとうございます。また、保護者の皆様に、御多用のところ御出席いただき、新入生はもちろん教職員一同、心から御礼申し上げます。
 新入生の皆さんは、義務教育を終えてさらに自分から進んで勉強したい、教養を深めたいということで、高校に進学をしてきました。「人生、100年」と言われる今、人は生涯にわたって学習していきますが、少なくとも学習は自分の意志で行うものです。その点から、本校に入学したのは、自らの意志で進学を決意し自らの選択で本校を選んだものと理解しています。この覚悟と意欲が、進学に関しては最も肝心なことなのです。もし、ただ漫然と高校に通い何とはなしに教科書を開くのであれば、進学した意味がありません。入学式は、皆さんが高校で積極的に勉強し、人間を磨いていく決意を確認する場でもあります。今日の入学式を3年後の卒業式まで決して忘れないでください。
 さて、入学式に当たり「失敗は人生の宝」であることを伝えたいと思います。私自身、毎日大なり小なりの失敗の連続です。新入生の皆さんも、これから始まる高校生活の中で、多くの失敗を経験します。バスケットボールの神様と言われたマイケル・ジョーダンは言いました。「人生の中で何度も何度も繰り返し、私は失敗した。それが私が成功した理由だ」また、自動車メーカー、ホンダの創業者である本田宗一郎は「失敗することを恐れるよりも、何もしないことを恐れろ」と言っています。
 いよいよ皆さんは、今日から高農生です。 皆さんの高農での生活の中には、勉強の他に部活動や生徒会、農業クラブ、家庭クラブ活動など取り組むものがたくさんあります。何も恐れず、いろいろなことに挑戦してください。成功だけでなく失敗も経験してください。失敗したらやり直せばいいんです。いろいろな失敗経験を積み重ねて得たものこそが、将来あなたを支えてくれる宝となります。
 最後になりましたが、保護者の皆様にお願いです。高校生は、「第2の誕生」と言われるほど、心身の変化が激しく不安と悩みの多い時期です。御不安も多々あろうかと思いますが、お子さまは苦しみながら時には回り道をしながら、壁を一つひとつ乗り越えて行かれます。
 私は常々思います。子どもは親や教師の言う通りにはなかなかなりませんが、親や教師の行動を真似をしながら成長します。だからこそ子どもにこうなってほしいという姿を、我々大人が子どもたちに示していかなければならないのです。そして、何より大切なことは、御家庭と学校とがお互い補い合いながら、お子様の教育に当たることだと思っております。学校と家庭が十分に連携し、信頼しあえるよう努めてまいる所存ですので、本校の教育方針に対する御理解と御協力を切にお願い申し上げまして、式辞とさせていただきます。
平成30年4月9日 1学期始業式式辞 「挑戦」
 おはようございます。今朝は深夜の地震驚いた人も多かったと思いますが、いよいよ今日から平成30年度が始まります。今年は、高農にとって創立120周年という記念すべき年となり、10月には、記念式典を行います。また、昨年は岡山県で47年ぶりの農業クラブ全国大会を実施しました。我々教職員も生徒のみんなも、在校中に本校の歴史に残る大きな行事を2つも体験できることは大変幸せなことだと思います。120周年式典では、農ク全国大会を立派に運営をした経験を生かして、素晴らしい式典となることを期待しています。            
 さて、明日には新入生200人が入学してきます。みんなも新しい学年となり、3年生は、誕生日が来れば選挙権が与えられたり、卒業後の進路を決定する、人生の大きな節目になる学年になりました。2年生は、落ち着いて勉強や部活動の他、生徒会・農ク・家クの活動、体育祭や高農祭などにも全力で取り組める学年となりました。     
 新しい学年を今日からスタートさせるみんなに、先日4月2日に全国のほとんどの会社で一斉に入社式が行われました。入試式の中で各会社の社長が、新入社員に対してどんな訓示をしたのかを、図書室に置いてある6社の新聞から調べてみました。    
 まず、今の時代は、人工知能AIなどの技術革新が進み、大きな変革期を迎えている時代であることをイメージして聞いてください。また、社長が「会社」と言った部分は、あえて「高農」と読み代えて紹介をします。        
 読売新聞には、パナソニックの社長が、「臆することなく、果敢な挑戦を続け、高農のエネルギーを生み出す存在になってください」、日本経済新聞には、マツダの社長が、「車の電動化や自動運転など目覚ましく進化し、産業構造が、今変わろうとしている。様々な社会の変化に柔軟に、先手を打って対応できる人となってください。」、山陽新聞には、本校の就職先の一つである源吉兆庵の社長が、「自分が高農を引っ張ると言う気持ちで、日々頑張ってください。」他にも多くありましたが、紹介はここまでにします。           
 6社の新聞で、「入社式」を扱った記事の見出しを見て、一番多かったのが、「挑戦」と言う2文字でした。今朝も、エンゼルスの大谷選手がピッチャーとバッターの二刀流で大リーグに挑戦をしています。挑戦しないのは、失敗が怖いからだという人もいますが、先生自身も、毎日、大なり小なりの失敗をしています。「こうすれば良かった」と思うことが、一日に何回もあります。みんなは若いです。、失敗を恐れず、何かに挑戦してみてください。 失敗は多ければ多いほど、必ず将来の宝物になります。
 それでは、みんなが何かに挑戦し、大きく成長してくれることを期待して、1学期始業式の式辞といたします。
平成30年3月20日 3学期終業式式辞
 おはようございます。今日で平成29年度が終わり、学校では、新年度に向けての準備が始まっています。1、2年生のみんなは、今の学年を振り返ってみて、自分の持てる力が十分に発揮できたでしょうか?
 さて、先週金曜日に、高校入試の合格発表を行いました。多くの受験生が結果を見に来ていましたが、合格者名簿を張り出すと、笑顔の受験生もおれば、そうでない受験生も多くいました。今年も、みんなが農ク全国大会や部活動で頑張ったことが、中学生にもしっかりと伝わり、5つの学科全てで定員以上の倍率になりました。しかし、残念ながら44名の受験生は入学ができませんでした。そのことを考えると、合格できなかった受験生の分まで、我々は努力し、高農がさらにレベルアップするよう頑張っていかなければならないと思います。     
 それでは2つ話をします。一つ目は、最近非常に気になっていることとして、今朝もテレビや新聞でスマホを操作しながらトラックを運転して、5人を死傷させた事故の運転手が求刑を上回る2年8月の実刑となったニュースがありましたが、自転車でも「ながら運転」による死亡事故が、ちょうど1ヶ月前にありました。神奈川県の20歳の女子大生が、左手にスマホ、右手に飲み物、左耳にはイヤホンをした状態で自転車を運転して、77歳の女性をはねて死亡させた事故です。警察は、女子大生の「ながら運転」による前方不注意と断定し、重過失致死としてその女子大生を横浜地検に書類送検しました。昨年度一年間で「ながら運転」による自転車の交通事故は、1999件。そのうち27件が死亡事故だったそうです。不注意によって、人の命を奪うことは決してあってはいけません。みんなも多くの人が毎日のように自転車に乗ると思います。決して「ながら運転」をせず、自転車の安全運転に心掛けてください。   
 もう一つは、東日本大震災のことです。大震災から7年が経ちました。先週の3月11日頃までは、テレビや新聞で3.11の特集が組まれ、毎日のように、震災のことが取り上げられていました。震災から7年たった今も、津波で行方不明者になった家族を毎日のように海岸で探しておられる人もいます。自宅に帰れない避難者も未だに、74000人もおられるという現実があります。我々に関係のある農業の面では、今も福島県産の桃は全国平均より、2割も安かったり、米や牛肉も品質が良いのに、安く叩かれて業務用に回されたり、また、福島県から避難した子供に対して、「放射能」と呼ぶ陰湿ないじめが各地で起きています。誤った知識に基づく差別や偏見が社会にまん延しているという現実もあります。今日は大震災から7年が過ぎ、改めて被災地を思い、我々の身の回りの防災を見直す日となることを願っています。ここ岡山は東北の被災地からは遠いですが、震災で犠牲になられた多くの方に、全員で黙祷をささげることができればと思います。   
「東日本大震災で犠牲になられた方へ黙祷」              
 それでは、4月には、新入生を迎えての学校生活がはじまります。いいスタートが切れるよう、充実した春休みを送ってください。以上で、3学期終業式の式辞とします。 
平成30年3月1日 第119回卒業式 式 辞
 厳しかった冬の寒さも和らぎ、春の嵐が通り過ぎた今日の佳き日、岡山県教育委員会 高校教育課 参事 藤岡隆幸様、同窓会長 難波武志様をはじめ、多数の御来賓、保護者の皆様の御臨席を賜り、岡山県立高松農業高等学校、平成29年度 第119回卒業証書授与式が、厳粛に挙行できますことは、この上ない喜びであり、深く感謝申し上げます。
 ただ今、卒業証書を授与いたしました188名の皆さん、卒業おめでとう。皆さんは本校所定の課程を修了され、栄えある第119期卒業生として、晴れの日を迎えられました。心からお祝いを申し上げます。
 保護者の皆様、本日は誠におめでとうございます。人生で最も多感で、しかも著しい成長期にあるお子様が、こうして卒業という慶びの日を迎えられましたことは、感慨もひとしおかと御推察申し上げます。また、今日まで3ヶ年にわたり、本校の教育活動のために、多大な御支援、御協力を賜りましたこと、全教職員を代表し、改めて厚くお礼を申し上げます。
 卒業生の皆さんは、平成27年4月、希望に胸をふくらませて、本校に入学して以来、「自主・責任・努力」の校訓のもと、学業をはじめ、生徒会や農業クラブ・家庭クラブ活動、そして、部活動に情熱を傾けてきました。とりわけ、命と向き合い、命を育てる学習や、夏の猛暑、冬の厳しい寒さに耐えての実習を通して身につけた力は、今後の皆さんを支える大きな財産です。
 特に皆さんは、昨年10月に47年ぶりに岡山で開催した、日本学校農業クラブ全国大会岡山大会の事務局として、生徒実行委員会、平板測量競技会、クラブ員代表者会議、そして大会式典での歓迎の集いや運営とまさに大車輪の活躍でした。小泉進次郎氏をサプライズゲストとしてお招きし、「岡山らしい心遣いある大会」を目指した結果、それが皆さんの行動に現れ、晴れの国岡山らしい秋晴れの下で、大成功に終わりました。この二度と味わえない経験を次の舞台で生かしてください。  
 さて、韓国・平昌では冬季オリンピックが終了し、日本人選手の目を見張る多くの活躍がありました。そして、来る9日からは、人種や地域そして、様々な身体的障害を乗り越えて、限界に挑戦する人たちの大会であるパラリンピックが開催されます。ここで、私が感銘を受けた斉藤淳一さんの五行歌を紹介します。「100メートル9秒台、一歩30分、どちらが凄い」という歌です。100メートルを9秒台で走る人がいる。確かに凄い。しかし、一歩を30分かけなければ歩けない人がいる。身体の障害であれ、知的な障害であれ、健常者には何でもない作業一つにも、神経を張り詰め、全身全霊を込めて取り組む人たちがいます。ある知的障害を持つお嬢さんが、成人式を迎え、その時の感慨を語る父親の文書を読んだことがあります。「娘は言葉を話せず、泣き声だけを発するという」毎日を一生懸命生きてきた娘は、私たち親の誇りである。」パラリンピックが近くなると思い出す言葉です。 
 皆さんのこれから出ていく社会は、大きな可能性を秘めた社会ですが、複雑で難しい社会でもあります。現実は厳しいと覚悟しておかねばなりません。良いことも悪いことも皆さんの回りに起きてきます。皆さんの周りには同じ年齢の人ばかりではありません。大きな年齢差があったり、いろいろな境遇と日々戦っている人もおられます。周りの人としっかりと向き合い、自分をしっかりと見つめ、苦しいことがあっても、決して諦めず、逞しく生きて行ってほしいと願います。いよいよ本校を巣立つ時がきました。188名の卒業生、一人ひとりの限りない前途に、幸多いことを、心よりお祈りし、式辞といたします。
平成30年1月9日 3学期始業式式辞 明治維新から150年目、「何かに挑戦してほしい」
 新年、明けましておめでとうございます。2018年、新しい年になりました。今年は大きく日本が変わった明治維新からちようど150年、平成30年は明治 150年にあたるそうです。世界では北朝鮮の核・ミサイル問題、国内では憲法改正への議論と課題は山積みですが、今年は、より良い年になればと思います。  
 新年になって、一昨日は全日本女子高校サッカーで、地元の作陽高校が岡山勢初の準優勝という快挙がありました。本校でも先ほどの壮行式のように、新春早々からレスリング部とソフトテニス部が中国大会出場となり、いいスタートが切れました。
 今年は関連したスポーツの面で言うと、2月に韓国・平昌オリンピックが開催され、日本人選手が金メダルに挑戦します。また、プロ野球では早稲田実業3年の清宮選手が、日本ハムでプロの世界に挑戦したり、大谷選手が、二刀流でメジャーリーグに挑戦するように、それぞれが今よりも一つ上の世界に「挑戦」する年だと思います。 
 さて、昨年は本校では、農ク全国大会岡山大会の成功に向けて、県内8校の農業高校同志の連携が一段と進みました。そして、10月の全国大会本番では、参加した全国331校の農業高校との交流も進みました。そして、11月には本校と同じ農業の専門高校である、韓国の金堤農生命マイスター高校との交流が実現しました。お互いの郷土芸能を披露したり、まずは生徒会が中心となって国際交流の第一歩がスタートしました。高農も今年創立120周年という歴史の大きな節目を迎え、これからは世界にも目を向けて農業教育を含めた交流を進めていく時代になったと思っています。  
 交流するには、まずはコミュニケーションが大切です。先生自身が今も後悔していることを言うと、世界共通語になりつつある英語について、中学から大学まで10年間も、授業で英語を勉強をしてきましたが、辞書を引いて、英文を日本語に訳すことは何とかできても、英会話はできません。海外で活躍している10代・20代のスポーツ選手が、英語でインタビューを受けているのを見ると、若い人のコミュニケーション力はすばらしいと感じました。
 先月、教室前の廊下で、ある英語の先生が、音読の実技テストをマンツーマンでしているのを見て、素晴らしいなぁと思いました。みんなはこれからの時代、どんな職業に就いたとしても、世界と仕事をしていく機会がすぐにやってきます。もう来ているのかもしれませんが、ぜひ色々な機会を利用して、外国の方と会話やコミュニケーションがとれ、農業を語れるようになってくれることを期待しています。  
 最後に、「一年の計は元旦にあり」と言いますが、みんなには、新年の今、最初に言った「挑戦」という言葉を意識して、何かに挑戦してみる一年にしてほしいと思います。例えば、英会話でもいいです。部活動で、中国大会やインターハイに行くでもいいです。農クの意見発表、プロ発表や平板測量や鑑定競技で、鹿児島大会出場を目指す。遅刻・欠席をせず、皆勤賞を目指す。挨拶は自分から先にするなどいろいろあります。大切なのは、目標を決めたら、途中止めにせず、結果はどうあれ、最後まで続けることだと思います。「継続は力なり」で、頑張ってください。   
 それでは、今日から3学期が始まります。3年生にとっては、高校生活最後の学期。「立つ鳥後を濁さず」とよく言われます。有終の美を飾ってください。1・2年生は、これからは全ての面で学校の中心となります。今以上に一回りも二回りも立派に成長してくれることを期待します。以上で3学期始業式の式辞といたします。
平成29年12月19日 2学期終業式式辞 「岡山らしい心遣い」で農ク全国大会岡山大会 大成功
 平成29年を振り返ると、世界では北朝鮮の核・ミサイル問題とか、最近では韓国・平昌オリンピックにロシア選手団の参加を認めないなどの大きなニュースがありました。                    
 本校の2学期を振り返ると、9月の体育祭に始まり、農ク全国大会、秋のふれあい市、高農祭。そして一昨日はこの体育館で、吹奏楽部と郷土芸能部の「くすの木コンサート」がありました。さすが農ク全国大会の式典で5000人を前に演奏しただけのことはあって、その音と迫力は最高だったと思います。 
 さて、先ほどは、農ク全国大会を振り返るスライドを見ましたが、やはり今年の一番の行事は何といっても、農業高校にとって最高で最大の大会である農ク全国大会が、岡山県で47年ぶりに開催できたことだと思います。  台風21号の接近により、一時は大会運営に相当影響が出るのではないかと心配をしましたが、「晴れの国おかやま」らしい、素晴らしい秋晴れの下で大会運営ができました。大成功だったと思います。     
 生徒実行委員会のメンバー、クラブ員代表者会議に係ったZ科、平板測量競技会のE科とF科、大会式典のA科とH科、歓迎の集いでの瀬戸南高校と合同で「絆」を演奏した郷土芸能部、瀬戸南高校と興陽高校と3校合同で全12曲を演奏した吹奏楽部。そして、全国優秀賞を獲得した平板測量チーム、Fカド・カフェを発表したF科のプロジェクト発表チーム、各科代表で優秀賞の鑑定競技選手の活躍など、県内、農業高校8校のまさに中心校として、それぞれの役割を十分に果たしてくれたと思います。たいへんお疲れ様でした。スライドにも写っていましたが、全国大会の中からいくつかの場面を紹介します。まず、生徒実行委員長、3Z・池上舞さんの挨拶は、彼女の思いがしっかりと詰まった挨拶でした。県外のある先生からは9年前の佐賀大会での生徒実行委員長の挨拶が、感動的で今でも印象に残っているが、池上さんの挨拶は、それ以上のすばらしい挨拶だったと言ってもらえました。  
 また、平板測量競技の視察に行かれた埼玉県の校長先生からは、会場の総社スポーツセンターに着いて「埼玉県から来ました」というと、生徒さんがすぐに「何々校長先生ですね。」と言ったので、来場者全員の名前を覚えているのかと思ってびっくりしましたと言っておられました。他にも、大会式典のジップアリーナで、床に落ちていた物を拾って落とし物ですと言って会場担当の生徒に手渡すと「ありがとうございました。あとはこちらで対応します。」と言って、拾った私にそれ以上の負担をかけないようにしてくれた心遣いには、本当に驚きましたと言ってもらえました。 
 他には、小泉進次郎さんが、忙しい中を朝一番の飛行機で、東京からサプライズゲストとして来てくれました。小泉さんは挨拶の中で「私は小学校から高校までずっと野球をやっていて、野球の甲子園には行けませんでしたが、今日はこうやって全国の農業高校生の甲子園に来ることができて、一つの夢が叶いました。そして、今後10年間で一番変化する産業は農業です。これからの日本の農業を、君たち農業高校生に託します。」という熱いエールもいただきました。以上のように、全国大会に参加された多くの人から「大会を運営した岡山県の生徒の皆さんの真剣に取り組む姿と笑顔が最高に良かった」と言っていただきました。     
 今後は、みんなにとっても我々教職員にとっても一番大事なことは、全国大会が、やれやれ無事終わったということだけでなく、この大会を通して得たものや身に付けた「岡山らしい心遣い」を、今後もしっかりと定着させていくこと。そして、今までは学校レベルだったり県のレベルだった活動を、全国大会レベルの活動内容まで引き上げていくことだと思います。
 「継続は力なり」と言われるように、高農全体にしっかりと定着した時こそが、本当の意味での将来につながる全国大会の成功だと思います。それでは、これからも寒い日が続きますが、健康にはくれぐれも注意して充実した冬休みを過ごしてください。以上で、2学期終業式の式辞といたします。
平成29年8月29日 2学期始業式式辞 「神対応!」良いと思ったことを、素直にすぐに行動に移せる人に
おはようございます。夏休みも終わり、最近は朝夕ほんの少しですが、秋の気配を感じるようになりました。今日は早朝から北朝鮮が弾道ミサイルを発射し、北海道上空を通過して襟裳岬東方の太平洋に落下したという緊急ニュースが流れました。今後が非常に気になるところではありますが、今日から本校では2学期が始まります。まず、夏休み中にいろいろな場面でみんなの活躍があったので簡単に紹介します。
 一つ目は、農業クラブの県大会において、今まで以上に素晴らしい成績を収めた人が多くいました。優秀賞も素晴らしいですが、特に最優秀を紹介すると、家畜審査競技では肉用牛と乳牛の部の団体ダブル受賞。フラワーアレンジメント競技でも、県代表として秋田全国大会への出場権を獲得。プロジェクト発表では、Ⅰ類とⅢ類の2つで最優秀、そしてⅢ類のF科チームが中国ブロックでも最優秀となり、全国大会への出場が決まりました。そして、意見発表のⅠ類でも最優秀で中国大会に出場し、さらに測量競技では、平板・水準・セオドライトの3部門全てで最優秀となり、2年ぶりの3冠達成となりました。実に6種目中5種目で、高農が最優秀を獲得するというすばらしい結果でした。この勢いが10月農ク全国大会岡山大会につながっていくことを期待しています。
 二つ目は、部活動です。山形インターハイへは、常連のレスリング部の他、陸上部が15年ぶりの出場を果たし、先日行われた県高校陸上選手権・女子三段跳びでは、3F上井さんが11m40の大会新記録で見事、優勝しました。そして、ソフトテニス部が岡山市総体で女子が団体2位、男子は2チームともベストエイト、サッカー部はアグリカップで3位を獲得しました。また、全国総合文化祭には、弁論と写真部が県代表としての参加を果たし、吹奏楽部は県吹奏楽コンクールにおいて、昨年度に続き銀賞を受賞しました。この夏休み、賞には関係なくとも、多くの部で夏合宿をしたり、県内外の高校との練習試合を重ね、体力や技術の向上に加えて部員同士の交流もしっかり図れたものと思っています。   
 さて、農ク岡山大会の開催まであと57日となりました。校内では、1棟と2棟の間にある「農クの森」が、同窓会とPTAから支援をいただき完成しました。県外から多くの人をお迎えする環境は徐々に整ってきていますが、岡山大会が終わった時、成功だったと言えるのは、運営面だけでなく、みんなも我々教員も、47年ぶりの岡山大会に係ったことで、自分自身が成長できたと感じる時だと思います。
 ここで、先週、新聞やテレビのニュースを見て感動したことがあったので紹介します。知っている人もいると思いますが、歌手の松山千春さんが神対応をしたという内容です。8月20日、札幌発・大阪行きの飛行機の中、Uターンラッシュで、出発が1時間が遅れ、待たされた乗客が非常にイライラした状態だった時のことだそうですが、その時同じ飛行機に乗っていた松山さんが、機長の許可を得て、機内マイクで乗客に「滅多にこんな事はないんです。関係者の皆さんも頑張っていますから、もう少しお待ちください。」と話しかけ、代表曲である「大空と大地の中で」を歌ったそうです。歌い終わると、「皆さんのご旅行が、またこれからの人生が素晴らしいものになることをお祈りします。もう少しお待ちください。」と話すと、機内では拍手喝采が起こり、乗客が笑顔になったと言う内容でした。良いと思ったことを素直にすぐに行動に移せる人は素晴らしいなぁと思ったので紹介をしました。 
 それでは最後になりましたが、2学期は一年で一番長く、一番行事の多い学期です。3年生はまず進路決定、2年生は修学旅行、全校としては体育祭、高農祭、秋のふれあい市、そして農ク全国大会があります。放課後の活動も多くなりますが、「秋の日はつるべ落とし」と言われるように、1日に1分以上、日が暮れるのが早くなります。下校するときは、出来るだけ暗い道は避け、不審者対策と交通事故防止に努めてください。                          
 それでは以上で、2学期始業式の式辞といたします。
平成29年7月19日 1学期終業式式辞「一つ上のレベルの心遣い・思いやりへ」
 梅雨明けも間近、いよいよ明日から夏休みになります。
 今年の梅雨は、全国各地に大きな被害をもたらした梅雨でもありました。特に、2週間前に九州北部の福岡や大分を襲った大雨は、数十年に一度の豪雨でした。川の氾濫や土砂崩れによって、仲の良い老夫婦、スポーツが好きだった若者、幼い子を抱いた妊婦さん、犠牲者は、最新の情報では34人になったと聞いています。亡くなられた方のご冥福を祈るとともに、今回のような集中豪雨は、少しの自然条件が揃えば、いつどこで起こっても不思議はないとも言われています。 地球温暖化が進む中、我々は今まで以上に気象情報などに敏感になり、常に危機意識をもって生活していく時代になってきたと思います。        
 さて、岡山県で47年ぶりに開催される農ク全国大会岡山大会まで、あと98日になりました。一昨日の祝日には、「全国大会100日前PRイベント」を岡山駅西口で行いました。本校の生徒実行委員を中心に、県下8校の生徒実行委員約50名が、大会チラシを配布したり、各種発表会や競技会、クラブ員代表者会議などの説明を行いました。今朝の山陽新聞全県版の他、当日はRSKやOHKのテレビでも放映され、多くの県民の方に全国大会の紹介が出来たと思います。
 来週は、本校が担当する平板測量競技リハーサル大会が、総社市スポーツセンターで開催されます。担当の農業土木科、食品科学科の人には、暑い中ですが、よろしくお願いします。10月の全国大会は「心遣いのある岡山大会」を、全ての会場、全ての場面で目標にしています。今までも始業式や終業式で心遣いや思いやりに関係したことの話をしてきました。
 例えば、先生自身が体験したこととして、一昨年の群馬大会では、道を尋ねた生徒が、荷物を持った先生のゆっくりとした歩くスピードに合わせて、長い距離を受付まで案内してくれました。最後に「ありがとう」とお礼を言うと、「ようこそ群馬大会へお越しくださいました」と本当にさわやかな返事が返ってきて、群馬大会はこの一言を聞いて大成功だと思いました。また、昨年の大阪大会では、大会式典のステージの上での出来事として、賞状の付箋紙をそっととるとか、登壇者が忘れていた白手袋を届けるなど、相手に恥をかかせないような行動をとった大阪のクラブ員の心配りある行動についての話をしました。
 少し話は変わりますが、3年生は、就職試験や進学試験が9月から本格的に始まります。第一印象で合格か不合格かが、ほぼ決まると言う人もいます。まずは挨拶。「大きな声であいさつ」とよく言われますが、ただ声が大きければよいというものではなく、心のこもった挨拶を、相手を見たら、まず自分から先に挨拶する習慣を身に付けてください。
 最後に、昔話をして終わりにしますが、今から17年前、先生は弓削高校から本校に農業土木科の教員として転勤して来ました。学校の様子も良くわからない転勤して間もない4月の初め頃、チョークを探しに2階の教務室に行きました。
 その時教務室の中には、大勢の普通科の先生が仕事をしておられました。先生がチョークをしばらく探しても見つからないので、「チョークはどこにあるんですか。」と、そこにおられたほとんどの先生に聞こえるぐらいの声で聞きました。
 その時、教務室の真ん中あたりにいた先生が、今は転勤しておられませんが、何か仕事をしながら自分の席に座ったまま、指を指して、「そのロッカーの中にあります」と教えてくれました。それで、先生はロッカーをいくつか開けて探していてもなかなかチョークが見つからないなぁと思っていると、それに気づいた別の先生が、仕事する手を止めてわざわざ先生の近くまでやってきてくれたのが、当時の教務課長で、今本校の副校長をしている越宗先生でした。
 越宗先生は、ロッカーを開けて、チョークを出してくれて、さらに「他の色のチョークが必要でしたら、すぐ注文します。」と言ってくれました。ほんの少しの行動ですが、この先生はすばらしい心遣いができる先生だと思いました。今でもその時のことは良く覚えています。
 先生自信、最初にチョークのあるロッカーを指を指しで教えてくれた先生も、大勢の先生の中で、誰よりも早く教えてくれてありがたいと思いますが、それでも越宗副校長がとった行動は、心遣いの点では大きな違いがあると思います。  
 自分は当たり前に知っている事でも、初めて全国大会で岡山大会に来た人は何もわからないと思います。まず相手の立場になってみると、どんな行動をとる事が、一番の心遣いであるかということの参考にしてもらえればと思い、昔話をしました。
 それでは、これからの夏休み、3年生の人は人生の大きな節目となる進路決定があります。1、2年生の人は、自分の知力・体力を鍛える絶好の夏休みです。実習やボランティア、部活動、資格試験などに積極的に挑戦し、充実した夏休みにしてください。以上で、1学期終業式の式辞とします。 
平成29年4月11日 入学式式辞 「やったことは、例え失敗しても、20年後には笑い話にできる。
しかし、やらなかったことは、20年後には後悔するだけだ。」
 桜の花も満開。雨の中をしっとりと彩っています。日本古来より、雨の日は幸せが振り込む縁起の良い日とされています。ただ今、入学を許可いたしました200名の新入生の皆さん、入学おめでとう。皆さんは、119年の伝統を誇る高松農業高等学校の一員となりました。これからの3年間を、岡山県の農業教育の中心校として発展を遂げてきた高松農業高校で、自己の才能を伸ばし、勉強に部活動にと充実した高校生活を送ってくれることを期待しています。               
 皆さんの入学を祝って、本日はお忙しい中、中溝正敏PTA会長の御臨席を賜りました。誠にありがとうございます。また、保護者の皆様に、御多用のところ御出席いただき、新入生はもちろん教職員一同、心から御礼申し上げます。    
 新入生の皆さんは、義務教育を終えて、さらに自分から進んで勉強したい、教養を深めたいということで、高校に進学をしてきました。人は、生涯にわたって学習していきますが、少なくとも学習は自分の意志で行うものです。その点から、本校に入学したのは、自らの意志で進学を決意し、自らの選択で本校を選んだものと理解しています。この覚悟と意欲が、進学に関しては最も肝心なことなのです。もし、ただ漫然と高校に通い、何とはなしに教科書を開くのであれば、進学した意味がありません。入学式は、皆さんが高校で積極的に勉強し、人間を磨いていく決意を確認する場でもあります。今日のことを三年後の卒業式まで決して忘れないでください。
 さて、入学式に当たり、アメリカの小説家として有名なマーク・トゥエインの言葉を紹介します。「やったことは、例え失敗しても、20年後には笑い話にできる。しかし、やらなかったことは、20年後には後悔するだけだ。」という言葉です。皆さんが進級し卒業するためには、必ずしないといけない勉強の他に、皆さんが自主的に取り組めることは、部活動以外にも、生徒会、農業クラブ、家庭クラブ活動などたくさんあります。将来後悔しないよう、いろいろなことに挑戦してください。成功だけでなく、失敗も経験してください。失敗したら、やり直せばいいんです。いろいろな失敗経験を積み重ねて得たものこそが、将来あなたを支えてくれる最も大切な財産となります。
 いよいよ皆さんは、今日から高農生です。毎年入学してくる新入生以上に、皆さんにはたいへん大きな活躍の場が、今年度あります。それは農業を学ぶ高校生の大会である農業クラブ全国大会が、実に47年ぶりに岡山県で開催されると言うことです。そして、その全国大会の事務局を担当するのが、本校です。学校の正面には、10月の全国大会までのカウントダウンボードを設置しています。大会では全国から農業を学ぶ生徒、教員、来賓を含めると、約5,500名をお迎えして、発表会や競技会、そしてジップアリーナでの大会式典などを、新入生の皆さんが中心となって運営します。つまり全国に386校ある農業高校の中で、今年度、全国から一番注目を集めるのは、間違いなく本校の皆さんです。私自身もそのことを考えると今から身の引き締まる思いがします。ともに大全国会成功に向けて頑張りましょう。    
 最後になりましたが、保護者の皆様、高校生は、「第二の誕生」と言われるほど、心身の変化が激しく、不安と悩みの多い時期です。御不安も多々あろうかと思いますが、お子さまは、苦しみながら、時には回り道をしながら、壁を一つ一つ乗り越えて行かれます。私は常々思います。子どもは親や教師の言う通りにはなかなかなりませんが、親や教師の行動を、真似をしながら成長します。だからこそ、子どもにこうなってほしいという姿を、我々が子どもたちに示していかなければならないのです。そして、何より大切なことは、御家庭と学校とが、お互い補い合いながら、お子様の教育に当たることだと思っております。学校と家庭が十分に連携し、信頼しあえるよう努めてまいる所存ですので、本校の教育方針に対する御理解と御協力を、切にお願い申し上げまして、式辞とさせていただきます。
平成29年4月10日 1学期始業式式辞
「今年度、全国の農業高校から一番注目されるのが高農。(農ク全国大会・岡山大会事務局)」
いよいよ今日から平成29年度が始まります。みんなは、学年も一つ上がり、3年生は進学・就職といった卒業後の進路決定をする大事な学年になりました。2年生は学校行事の中心となり、勉強も部活も全力で取り組める学年になりました。
 さて、今年度はカウントダウンボードにあるようにあと198日後には、農ク全国大会が、47年ぶりに岡山県で開催されます。そして、全国大会の事務局である本校が、間違いなく全国に386校ある農業関係高校の中で今年度一番注目される学校になります。また、県内8つの農業関係高校の中で、全国事務局の他、生徒実行委員会の運営、平板測量競技会、クラブ員代表者会議、大会式典といった5つの部門を担当するのは、県内でも本校だけです。そのため非常に責任が重いですが、その責任の中でしかできないことがあります。昔から「プレッシャーなくして成長なし」とか、「ストレスなくして成長なし」とよく言われますが、良い意味でプレッシャーやストレスを楽しみに変えて、自分を成長させる絶好のチャンスだと前向きに考えてほしいと思います。       
 先ほど、今年度は全国の農業高校から一番注目されるのが、高農だと言いましたが、注目されるということは、高農の生徒は、どんな専門分野の勉強やどんなプロジェクト学習をしているのだろうかとか、また、挨拶や言葉遣い、服装はどうだろうかということです。挨拶や言葉遣いの習慣が身につけることは、進学や就職試験の時、絶対に有利になります。また、将来、会社員になっても、周りから礼儀正しい人だと思われます。ぜひ全国大会の機会を利用して、好感の持てる挨拶や言葉遣いに取り組んでください。
 それでは、3年生の人は、将来の進路を決める時が間近に迫って来ました。就職については、景気の良い状態が今年も続くと予想されますが、かといって全員が第一希望の会社に合格するわけではありません。やはり企業は給料を払う以上、仕事をしてくれると思われる人しか採用しません。これを「厳選採用」と言いますが、会社が5人新採用がほしいと思っていて、4人受験したとしても、4人全員が合格するわけではなく、3人しか採用しないことはよくあることです。進学もそうですが、就職試験で合格する秘訣は、勉強も大切ですが、やはり、他人とのコミュニケーションが上手に取れるか、挨拶や言葉遣いは身についているかが合格・不合格の判断になります。                 
 2年生の人は、今までは一番下の学年でしたが、明日は入学式をして後輩が200人入ってきます。先輩として、高農生としてのあるべき姿をしっかりと1年生に見せてやってください。部活でも生徒会、農業クラブ、家庭クラブ活動など、先輩と後輩が一緒に活動することも多いと思います。先輩として1年生をよろしくお願いします。
 最後、全員に取り組んでもらいたいこととして、10月にはクラブ員代表者会議が本校の2棟を会場に行われ、北海道から沖縄までの約400人のクラブ員と顧問の先生方が来られます。下足箱や2棟の階段や手すりもきれいになっています。今後は玄関前のロータリーとか、1棟と2棟の間にある「農クの森」の工事をして、新しい庭園にしていきます。みんなには、毎日の掃除に時間一杯しっかりと取り組んで、きれいな高農で全国のクラブ員をお迎えしたい思いますので、よろしくお願いします。      
 以上、新年度にあたり、挨拶・言葉遣い・清掃など取り組んでほしいことをお願いして、1学期始業式の式辞といたします。
平成29年3月17日 3学期終業式式辞「世界中が賞賛した日本人の行動」
 おはようございます。今日で平成28年度が終わり、学校では、いよいよ新年度に向けての準備が始まります。 1、2年生のみんなは、今の学年を振り返ってみて、勉強や部活動に自分の力が十分発揮できたでしょうか?
 さて、3月1日の卒業式を振り返ってみると、みんなが、卒業生を温かく送り出そうという気持ちが、よく伝わってきて、厳粛なすばらしい卒業式になりました。来賓の方からも椅子に座っている姿勢が崩れず、礼もしっかり出来ていて、見ていて気持ちがよかったというお褒めの言葉をいただきました。来年度の卒業式は、農ク全国大会岡山大会を実施した年度の卒業式になります。今年度以上にお互いが成長できた卒業式になることを期待しています。  
 また、今朝9時に、一般入試の合格発表を行いました。多くの受験生が結果を見に来ていましたが、合格者名簿が張り出されたときの受験生の表情を見ていると、満面の笑みを浮かべている受験生もおれば、うつむいて校門を出て行く受験生も多くいました。今年は、みんなが頑張って専門分野の取り組みや部活動で良い成果を出したことが、中学生にも良い情報として伝わり、5学科全てが定員以上の倍率になりました。しかし、残念ながら45名の受験生は入学できませんでした。その姿を見ると、合格できなかった受験生の分まで、努力して、高農が名実ともに県内農業高校の中心校として、また、今年度は全国大会事務局として、そして、全国で386校ある農業高校で今年最も注目を集める高校としての自覚をもって頑張ってほしいと思います。                  
 それでは今日の本題ですが、毎年この時期になるとマスコミで多く取り上げられるのが、東日本大震災です。大手の読売新聞の他、山陽新聞でも3月上旬から震災の起こった3月11日まで「東日本大震災6年、被災地は今」というテーマで、特集記事を掲載していました。大震災が発生したとき、みんなは小学校4年生と5年生の終わりだったと思います。先生も、震災が起こって以降は、3学期の終業式には、大震災を忘れないために、震災に関連したことを話すようにしています。6年がたった今も、行方不明者の捜索は続けられています。今だに2552人の方の行方が分かっておりません。当時約16万人に上った避難者の数は、現在でもまだ8万人という現実があります。今日は被災地からは遠い岡山ですが、犠牲になった方へ全員で黙祷をささげたいと思います。            
(司会:「東日本大震災で犠牲になった方へ黙祷をささげたいと思います。黙祷。・・・・・(1分)・・・・・黙祷終わり。」)   
 ありがとうございました。
 最後に、震災当時、自分のことで精一杯なはずの日本人がとった行動として、世界中が賞賛した日本人の行動を、当時の記事から3つ紹介して終わりにしたいと思います。一つ目は、豚汁の炊き出しが始まると、高校生ぐらいの男の子が、真っ先に飛んでいった。勝手だなと思って見ていたら、豚汁を足の不自由なおばあさんのところへ持って行って、「あったかいうちに飲んでください」と言い残し、自分のをもらいに長い行列の後ろに並び直していた。               
 二つ目は、地震で物が散乱しているスーパーで、落ちている物を律儀に拾い、そして列に黙って並んで、お金を払って買い物をする。やっと運転が再開した電車で、込んでいるのに、妊婦に席を譲るお年寄り。この光景を見た外国人は絶句した。   
 最後三つ目ですが、ディズニーランドでは、ショップのお菓子も配給された。ちょっと派手目な女子高生達が必要以上にたくさんもらっていて、「何だ。この子達は」と一瞬思ったけど、その後その女子高生達が、避難所の子供達にお菓子を配っていたところを見て感動したそうです。時間の関係で3つだけ紹介しましたが、どんなに自分が苦しい場面でも相手を思いやる行動は、普段の生活の中から身に付いたものだろうと思います。大震災に伴う岡山県内への避難者は、最新の調査では、1016人で、西日本では唯一、千人を超えています。今年10月の、農ク全国大会は「心遣いある岡山大会」を目標にしています。東北の被災地の高校生も多く岡山大会や高農に来てくれることもあり話をしました。  
 それでは、明日からは春休みです。4月には,新たに200名の新入生を迎えての学校生活がスタートします。いいスタートが切れるよう自分の健康と交通安全には特に気を付けて、充実した春休みを送ってください。
 以上で、3学期終業式の式辞とします。 
平成29年3月1日 卒業式校長式辞 ♪松山千春♬「大空と大地の中で」・・・力の限り生きてやれ。
 厳しかった冬の寒さも和らぎ、確かな春の息吹を感じる今日の佳き日、岡山県教育委員会 財務課 参事 荒井敬三様、同窓会副長 柴田健二様をはじめ、多数の御来賓、保護者の皆様の御臨席を賜り、岡山県立高松農業高等学校、平成二十八年度 第百十八回卒業証書授与式が、厳粛に挙行できますことは、この上ない喜びであり、深く感謝申し上げます。ただ今、卒業証書を授与いたしました百八十八名の皆さん、卒業おめでとう。皆さんは本校所定の課程を修了され、栄えある第百十八期卒業生として、晴れの日を迎えられました。心からお祝いを申し上げます。
 保護者の皆様、本日は誠におめでとうございます。人生で最も多感で、しかも著しい成長期にあるお子様が、こうして卒業という慶びの日を迎えられましたことは、感慨もひとしおかと御推察申し上げます。また、今日まで三か年にわたり、本校の教育活動のために、多大な御支援、御協力を賜りましたこと、全教職員を代表し、改めて厚くお礼を申し上げます。
 卒業生の皆さんは、平成二十六年四月、希望に胸をふくらませて、本校に入学して以来、「自主・責任・努力」の校訓のもと、学業をはじめ、生徒会や農業クラブ・家庭クラブ活動、そして、部活動に情熱を傾けてきました。とりわけ、命と向き合い、命を育てる学習や、夏の猛暑、冬の厳しい寒さに耐えての実習を通して身につけた力は、今後の皆さんを支える大きな財産です。今、卒業式に臨み皆さんの脳裏には、どんな思い出が去来しているでしょうか。休み時間や部活動で交わした友との何気ない会話、授業や実習での先生方とのやりとり、友情を深め合った体育祭、青春のエネルギーを燃やした高農祭、東京への修学旅行、伝統の春と秋のふれあい市などの学校行事でしょうか。或いは、進路実現のために努力を重ねた日々でしょうか。本校での生活を通して、自分の素晴らしいところをきっと見つけてくれたものと信じています。本校での出合いと思い出は、皆さんの一生の宝物です。   
 さて、皆さんはこれから高校という狭い社会から大きな社会へと出て行きます。大きな可能性を秘めた社会ですが、複雑で難しい社会でもあります。現実は厳しいと覚悟しておかねばなりません。良いことも悪いことも皆さんの回りに起きてきます。約四十年前に、北海道出身の松山千春という歌手がヒットさせた「大空と大地の中で」という曲があります。少しこの曲の歌詞を聞いてください。「松山千春のヒット曲「大空と大地の中で」を流す」今の曲の中に、「生きることが辛いとか、苦しいだとか言う前に、野に育つ花ならば、力の限り生きてやれ」というフレーズがありました。良い人生だったか悪い人生だったかは、長い人生を終わるときになってみないとわかりません。大切なのは、今この時を、そして一日を、力一杯生きていくことです。その生き方を重ねていくと、必ずあなた方を支えてくれる人、応援してくれる人に巡り会え、道が開けてくるはずです。そうして、自ら切り開いた道にキラリと輝く花を咲かせてください。
 最後になりましたが、皆さんの母校高松農業高校は、これからもこの地にしっかりと建ち続けます。今後も卒業生として母校を支えてやってください。いよいよ本校を巣立つ時がきました。百八十八名の卒業生、一人ひとりの限りない前途に、幸多いことを、心よりお祈りし、式辞といたします。
平成29年1月10日 3学期始業式式辞「まずは「次の電柱まで」走ろう。」
 新年、明けましておめでとうございます。昨年は4月の熊本地震と10月の鳥取地震のように、特に西日本で大きな地震が発生した年でした。また、歴史的なこととして、オバマ大統領が被爆地・広島を訪問したり、年末には安倍首相がハワイ・真珠湾での慰霊を行うといった大きな出来事がありました。2017年こそは、明るいニュースが増えることを期待したいと思います。
 いよいよ今日から3学期が始まります。一年で一番短い学期ですが、それぞれの学年のまとめの学期でもあります。来週から始まる学科ごとの学習発表会もまとめの一つとして、その成果を楽しみにしています。新年に当たり、1年の計は元旦にありとよく言われるように、この1年間を何を目標にして過ごすか、学習面や生活面での目標をしっかり立てて、寒さに負けず頑張ってほしいと思います。
 さて、先日行われた岡山県高校新人バスケットボール大会において、本校女子チームが24年ぶりに県大会に出場しました。津山東に惜しくも60対63の僅差で負けはしましたが、わずか6人の部員での県大会出場は素晴らしいと思います。同じ部活動において、年末には倉敷高校が、京都で行われた全国高校駅伝男子で初優勝するという快挙がありました。今日は、同じ陸上競技に関係した話をしますが、あと3年後には東京で2回目となるオリンピックが開催されます。1回目は1964年で、その時の日本代表のマラソン選手として活躍した、君原健二さんの話をします。
 君原選手は、東京オリンピックで8位、4年後のメキシコでは銀メダル、その次のミュンヘンでは5位という、日本を代表するすばらしいマラソン選手でした。さらに、すばらしいことに君原選手は引退するまで35回マラソンに出場しましたが、その全てにおいて完走したことです。
 その君原選手がこのような話をされています。「私は苦しくなると、よくやめたくなるんです。そんな時、あの角まであの電柱まであと100メートルだけ走ろう。そう自分に言い聞かせながら走るんです」。今年の正月に行われた箱根駅伝でも、青山学院大学が3連覇しましたが、その選手の一人が、同じようにあの青学の緑色の旗が立っているところまで、まず頑張ろうと思って走ったとインタビューで答えていました。
 みんなも部活のランニングや体育の長距離走で、きつくて走るのをやめたいと思った経験があると思いますが、君原選手や青学の選手も全く同じ気持ちになっていたということです。そんな時、目の前に見える「あの電柱まで」走ろう。そして、その電柱まで走れたら、その次に見える「あの電柱まで」走ろうと自分に言い聞かせて走っていたそうです。この君原選手の話は、大きな目標を達成するためには、まず小さな目標を掲げ一つ一つクリアし、積み重ねていくことの大切さを教えてくれています。みんなも、マラソンに限らず、勉強、資格取得、部活動などにおいて、つらくて、途中でやめたいと思ったときには、君原選手の「次の電柱まで」という言葉を思い出してほしいと思い、話をしました。
 最後になりましたが、3年生にとっては、高校生活最後の学期になります。そして、卒業と同時に社会人となります。やり残しや悔いが残らないようにしっかりとした生活を送ってください。
 1・2年生には、2017年が、農業クラブ全国大会の年であることを、常に意識しながら、その大きな大会の準備・運営を通して、人間的にも一回りも二回りも大きく成長してくれることを期待して、新年の挨拶、並びに3学期始業式の式辞といたします。
平成28年12月19日 2学期終業式式辞「岡山は、相手への思いやり発祥の県」
-岡山での農ク全国大会に期待-
 おはようございます。2学期を振り返ると、体育祭に始まり、農ク大阪大会、秋のふれあい市、高農祭、そして農ク岡山県大会というように毎月のように大きな学校行事がありました。また、昨日はこの体育館で、吹奏楽部と郷土芸能部の感動的な「くすの木コンサート」がありました。それら多くの行事を体験していくうちに、自分自身が成長していると感じた人も多かったと思います。また、10日前と先ほどは、2学期の表彰式を行い、多くの人に表彰状を伝達することができました。これもみんなが、各分野で努力をした立派な結果だと思います。これからも一人でも多くの人が表彰式に登壇してくれることを期待しています。
 さて、先週は農ク全国大会岡山大会に向けての「カウントダウンボード」が披露されました。今日は10月に行われた農業クラブ大阪大会のことで、先生は来年度の開催県として、生徒実行委員長、2Z池上舞さんと大会式典のステージの上にいました。そのステージの上で、式典係の大阪の生徒の動きを、後ろからしっかりと見ることができました。その時に感動した場面がいくつもあったので、山陽新聞の「ちまた」という読者コーナーに投稿しました。すると、岡山マラソンがあった11月13日日曜日の朝刊に掲載をされたので、その記事を紹介して、終業式の式辞に代えたいと思います。
 記事は、「岡山での全国大会に期待」というタイトルです。『全国の農業高校生の“甲子園”といわれる農業クラブ全国大会が、10月に3日間にわたって大阪で開催された。農業の知識や技術を競う発表会や競技会を行い、最終日には国際会議場で大会式典が行われた。その中で各競技会で日本一になった生徒達に、文部科学省や農林水産省から賞状を授与する場面があった。その全てを担当したのが大阪の農業高校生であり、そのサポートぶりに何度も感心させられた。
 賞状にふりがなの書かれた付箋紙が貼られたまま本人に渡されていると、周囲の注目が別にあることを確認して、そっと近くに行って付箋紙をはがしたり、来賓が賞状を読むタイミングに戸惑っていると思えば横からそっと促す。連盟旗を持つための白手袋を忘れている様子がうかがえると、生徒同士伝令を飛ばし、さっと手袋を届ける。傍らで見ていても、相手に恥をかかせず、トラブルを未然に解決していった高校生。これらの振る舞いが張りつめた会場の雰囲気を自然と和ませていた。心憎いほど気の利いた大阪の高校生に感謝したい。
 さて、来年は47年ぶりに岡山で全国大会が行われる。点字ブロック発祥の地で育った岡山の高校生にも、大阪を上回る心遣いを期待したい。』というのが先生が投稿した記事の内容です。今の最後に出てきた点字ブロックは、目が見えない人が安全に歩道を歩けるように設置されたものです。約50年前、世界で初めて現在の岡山盲学校がある岡山市原尾島の交差点の歩道に、盲学校の生徒が安全に通学できるようにと、230枚の点字ブロック設置されました。そして、岡山市から世界中に点字ブロックが広がっていきました。岡山県は「福祉の心」と「相手への思いやり」の発祥の県であることも。
 それでは、健康にはくれぐれも注意して、充実した冬休みを過ごしてください。以上で、2学期終業式の式辞といたします。
平成28年8月28日 2学期始業式式辞「良い習慣を身に付ければ、人格も立派に磨き上げられる」
おはようございます。昨日は警報が出た関係で、一日遅れの始業式になりましたが、夏休みも終わり、最近は朝夕少し秋の気配を感じるようになりました。    
 まず、今年の夏休みは、例年以上に大きなイベントがありました。世界的には、リオのオリンピックが開催され、日本人選手は、金メダル12個を含む過去最多の41個のメダルを獲得しました。陸上男子400メートルリレーの銀メダルの他、多くの場面で感動や勇気をもらった人も多かったと思います。 
 また、インターハイが岡山を中心に開催され、本校が育てた花と巨大な桃のオブジェがジップアリーナ周辺を飾りました。レスリング部は選手としてインターハイに出場し、団体戦では2回戦で春の選抜優勝校に負けはしましたが、先生自身もレスリングの試合を見たのは、工藤先生が11年前の岡山国体の選手として出場し、優勝した試合を見て以来で、本校の選手の勝ち負けは別として、それぞれが全力で戦う姿に感動しました。そして8月19日には、大阪で行われたレスリング全国グレコローマン選手権74キロ級において農業土木科3年の北條君が、インターハイの雪辱を果たし、見事初優勝を飾りました。他にも、ソフトテニス部員や陸上部員がインターハイでの競技に関わったり、ジップアリーナでの花の管理や、生徒実行委員として飲み物の配布など、様々な場面でインターハイを通して、思い出をつくった人も多かったと思います。
 インターハイ以外でも、壮行式のとおり射撃部、横溝君がジュニアオリンピックへの出場を決めたり、バスケットボール部女子が農業高校大会で2大会連続優勝、おとといは、陸上の岡山県高校選手権において、食品科学科2年の上井さんが三段跳びで優勝したり、吹奏楽部は吹奏楽コンクールで銀賞を受賞しました。郷土芸能部は地域に出て行って最上太鼓を演奏するなど、全ての部活動についてコメントはできませんが、それぞれに夏合宿も含めて、実り多い夏の部活動だったと思います。
 農業クラブ活動については、平板測量競技県大会で農業土木科2年生チームが優勝し、全国大会大阪大会への出場を決めたり、測量セオドライトの部で農業土木科3年生チームが優勝をしています。また、測量競技全国大会プレ大会では、猛暑の中を、農業土木科と食品科学科の1、2年生を中心に運営を担当し、無事プレ大会を行うことができました。来年の岡山大会に向けて、さらにレベルアップするための課題も見つかったのではないかと思います。       
 さて、今日から始まる2学期は、毎月、大きな学校行事があります。9月は2年生の修学旅行、10月は体育祭と農ク全国大会大阪大会、11月には秋のふれあい市と高農祭があります。どの行事も、各クラスや担当で、協力し合って、一人ひとりが達成感を味わえる行事になることを期待しています。       
 最後に、3年生は、いよいよ来月16日から就職試験が始まります。求人が上向きになったとはいっても、決して希望する会社に、入りやすくなったわけではありません。夏休みから履歴書を何枚も書き直したり、面接練習をこれからも続けながら、毎日の生活の中から、あいさつや言葉遣いといった礼儀やマナーを磨いてきていると思います。それを面接試験の時だけでなく、普段の生活の中から心がけて実行してください。
 ある企業の人事担当者から聞いたことですが、就職試験を受ける人のフェイスブックやツイッターなどの内容をチェックして、受験生の情報を集めているという話も聞きました。つまり、短時間の面接試験ではなく、受験生は普段、どんな言葉を使い、どんな行動を取る人であるかを知りたいというのが一番だそうです。「良い習慣を身に付ければ、人格も立派に磨き上げられる」という言葉もあります。普段から好感の持てるあいさつや年上の人に対する礼儀など、本校の先生方の立ち振る舞いを参考にしながら、意識して自分の習慣にしていけば、人間関係の上でも将来必ず良い結果につながっていくと思います。          
 それでは、これからは日が暮れるのが、どんどんと早くなります。不審者対策や登下校時の交通ルールを守るなど、自分の身は自分で守るという心構えで行動し、充実した2学期となることを期待して、始業式式辞といたします。
平成28年7月19日 1学期終業式式辞『一つの言葉や振る舞いが大切』
 おはようございます。中国地方は、昨日梅雨明けしました。いよいよ夏も本番となります。
 今年の夏は、リオのオリンピック・パラリンピックが開催されますが、高校生にとっては、岡山を中心としたインターハイが、39年ぶりに開催されます。全部で30ある競技の中、9つの競技が岡山県で開催をされ、7月28日にジップアリーナ岡山で総合開会式が行われます。
 本校からは、インターハイにレスリング部が出場します。山陽新聞の記事を借りると「学校対抗戦は、県総体で接戦を制した高農が、4年連続6回目の出場。持ち味である粘り強い攻撃レスリングで全国8強を狙う。猛練習の成果が楽しみだ」と書かれていました。新聞記事通りの活躍を期待しています。また、競技に出場する選手以外にも、多くのみんながインターハイに参加します。本校からもジップアリーナには、園芸科学科が育てたベゴニアとリュウノヒゲのポット植えを型枠にはめ込み、桃をかたどった大きな花のモニュメントで会場を装飾します。他にも、弁当・飲料水の配布係や、吹奏楽ファンファーレ係の他、選手団激励係も担当していて、約60名が参加します。暑い中ですが、おもてなしや大会運営に関わって、岡山インターハイに参加することで、一生に一度の感動を味わってもらいたいと思います。
 今年はインターハイの他にも、農業クラブ全国大会岡山大会のプレ大会が、県下各地で開催されています。本校の関係では、平板測量競技のプレ大会を7月26日に総社スポーツセンターで開催します。担当する農業土木科と食品科学科のみんなには、外部の審査員が30人も来られます。特に競技が時刻通りスムーズに運営できるようよろしくお願いします。 最後に、3年生はいよいよ進路決定の時期が来ました。今年は自動車メーカーの燃費問題があり、求人の数が減るのではないかと心配していましたが、進路課長の藤井先生の話を聞くと、本校に来てくださる企業の方の人数や求人票の枚数はまずまずだと聞いています。しかし、知っておいてもらいたいのは、例えば5人の新入社員をを募集している会社で、10人の志願者があったとしても、5人を採用せずに、4人しか採用しないことがあるそうです。つまり、会社で先輩社員や同僚と良い人間関係が保てて、会社を成長させてくれると見込んだ人を採用すると言うことです。「厳選採用」と言う言葉をよく耳にしますが、成績や部活動や農業クラブなどの高校で頑張ってきた実績も当然大事ですが、それ意外にも、その人の心というか、振る舞いも重要だと言うことを知っておいてほしいと思います。
 この前、20代後半の男性と女性が、大雨の中、本校に来られました。たまたま事務室の前でその二人を見ていると、男性の方は差していたびしょびしょの傘を、自分の手がびしょびしょになるにもかかわらず、丁寧にひもで縛ってから傘立てに立てました。女性の方は、傘をひもで縛らずに、傘立てに立てました。その女性の傘は中途半端に開いて、隣の傘のスペースも占領している状態でした。この二人がとった何気ない行動は、普段から二人がとっている行動そのままだろうと思いました。先生が採用するかしないかを決める人事の担当者ならば、傘をひもで縛って傘立てに立てた人の方を採用すると思いました。一つの言葉や振る舞いが、大切なんだということを伝えようと思い話をしました。
 それでは、暑い夏ですが、健康管理をしっかりとして、有意義な40日間にしてください。以上で、1学期終業式の式辞といたします。